河川事業におけるアセットマネジメントは、河川構造物の既存ストックが膨大であるうえ、ひとたび洪水等の被害を受けると甚大な被害へと発展するリスクが高いことと相まって、持続可能な社会基盤形成に向けて重要な課題となっています。
当社におきましても、各種河川構造物の点検や長寿命化対策などを通じて、さまざまな提案や技術提供をおこなって参ります。

これらの対象となる施設は、護岸、樋門・樋管、堰、排水機場、その他の管理施設全般となります。小規模な排水路等の施設まで含めた点検・診断ならびに維持・修繕計画を策定するケースもおこなわれており、限られた財源の中、既存ストックを如何に生かしていくかが問われる時代に突入したといえます。

砂防・地すべり分野におけるアセットマネジメントについては、これから本格的に取り組み始められると考えられます。
しかしながら、既存のストックを活用したインフラの整備はこれまでもおこなわれており、当社はさまざまな視点から有効かつ最大限の既存ストック活用を提案、実施しております。これからも、各管轄、管内の管理施設データベース化や、維持・管理計画を含めた総合的な技術提案を積極的におこなって参ります。

既存の砂防堰堤に対して、土石流に対する防護性能を向上させる目的で、腹付けをおこない堤体厚を拡大したものです。既存ストックを補強により活用することで、新たな砂防堰堤建設を抑えることが可能となり、トータルコストを抑制することができます。老朽化した砂防堰堤を適時補強、延命し有効活用する際も、同様の手法が有力となります。

地すべり対策の採用頻度が高い工種として地下水排除工が挙げられます。
しかし、地下水排除工は穴あき集水管によって地下水を排出させるため、泥や水垢などの付着によって目詰まりを引き起こし、対策工の効果は経年的に劣化することが避けられない工法となります。
対策としては、ジェット噴射器による洗浄がおこなわれますが、5 年から10 年のサイクルが要求されるため、計画的な維持作業が重要となります。