【橋梁予備設計、橋梁詳細設計】
 道路計画から橋梁架設位置を設定し、地形や地質条件等を基に適用できる構造形式を選定して比較案を作成し、概略検討を行います。
 検討は経済性、施工性、景観性の他、維持管理性も含めて総合的に優れた形式を選定します。
 その後、詳細な検討、設計計算、関係機関との協議並びに施工計画を行い、工事発注のための図面作成や数量計算を行います。

【橋梁耐震補強設計】
 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災や平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、多くの橋梁で通行不能となり、その後の初動対応や復興支援で支障となりました。そのため、巨大地震発生時も車両の通行を確保できるよう、耐震補強を行っています。
 耐震補強設計では、対象とする橋梁の重要性、必要となる耐震性能、地盤条件、施工条件等を基に、対策工の比較検討を行い、巨大地震時にも必要となる安全性を確保するとともに、施工後の維持管理性についても着目して設計を行っています。

【橋梁、道路構造物等の調査、補修、補強設計】
 高度成長期時代に建設された多くの橋梁、道路構造物の老朽化は大きな社会問題になっています。
 このような構造物については、現状把握や劣化要因分析のための詳細調査を行い、構造物に生じている劣化現象を把握し、劣化要因に応じた対策工の検討を行うとともに、耐荷力の低下した構造物に対しては必要に応じて補強設計を行っています。

 国道25号王寺バイパスとJR王寺駅南口を直接連結するための橋梁、道路及び駅前広場を一体で設計を行いました。橋梁形式としては、町道との跨道部で建築限界を確保するとともに、駅前広場に取りつくよう、桁高を低くできる鋼床版鈑桁形式を採用しました。新設道路設置による周辺住民への威圧感を低減するとともに、親しみやすいデザインとするために、化粧板やルーバー及びバルコニーやデザイン高欄を設置し、歩道路面も滑りにくいタイル仕上げとしました。
 橋梁形状やデザインについては、周辺住民との地元説明会を複数回開催し、デザインの作りこみを行いました。
 完成後は王寺町が管理する代表的な橋梁として、『王寺大橋』と命名されました。親柱も町歌にも歌われている『和の鐘』をモチーフとしたデザインとしました。

 国道25号王寺バイパスから王寺スカイヒルズにアクセスするための道路橋、歩道橋及び道路設計を行いました。
 交差する奈良県道202号畠田藤井線を横断する本線橋、本線橋前後の道路構造物の他、県道から王寺スカイヒルズにアクセスするための歩行者用橋梁、アクセス路も一体で設計しました。
 現状で家屋等が近接しているため、騒音防止やプライバシー確保の観点より、遮音壁を設置するとともに、建設段階で住民に完成予想を説明するための各種パースを作成し、住民との合意形成を行いながら設計を進めました。

 恩智川を横断する2径間鋼床版鋼箱桁です。曲線の橋梁ですが、河川と平行に走る道路との建築限界や河川の余裕高を確保するために最小の桁高600mm程度とする必要がありましたが、曲線形状から発生するねじりモーメントに抵抗するために箱桁とする必要があるため、ねじりの大きい部分は桁下面に別途カバープレートを設置することで鈑桁から箱桁形状に変更できる構造を採用しました。
 また、前後の道路との位置関係より、極めて不均衡な支間割となっており、大きな負反力が生じる形式となるため、キャンバー調整と反力コンクリートの併用で負反力が生じない構造としました。解析については曲線橋のため、3次元モデルを用いた動的解析を行い、橋梁各部の安全性を照査しました。
 橋梁と合わせて、人道橋及びバリアフリーのためのエレベーターも一体で設計を行いました。

 国道171号から新名神高速道路高槻ジャンクションに至るロングランプの内、檜尾川を横河する部分の3径間連続の高架橋です。形式は橋梁が比較的小さな曲率を有する曲線橋である事と曲線橋のため大きなねじり剛度を確保できるよう、1BOX形式の鋼床版箱桁形式を採用しました。
 上部工については、鋼床版の点検性を向上させるとともに、極力外面塗装面積を減らして維持管理性を向上させる目的から、逆台形形式のフォルムを採用しました。
 また、鋼床版形式は路面凍結が発生しやすい事から、寒冷地の橋梁における凍結防止対策を整理し、舗装面にグルービングを設ける設計を採用しました。
 解析については、曲線橋であることから3次元モデルを用いた動的解析を行い、橋梁各部の安全性を照査しました。

 国道171号から新名神高速道路高槻ジャンクションに至るロングランプの内、JR東海道本線から名神高速道路跨道部分の高架橋に対する予備設計を行ったものです。
 この内、名神高速道路跨道部分については、①高速道路の通行規制を行わなくても床版の点検を確実に実施できる事、②名神高速道路の大規模修繕工事5日間で上部工架設が完了できる工法とする事、の1課題を解決する必要が生じました。この内、①については上部工形式を大型の逆台形1BOX構造とし、張出床版が無い構造とし、床版は全て箱内から点検できる構造としました。②については、終点側の道路整備を先行して実施し、この部分を地組ヤードとしてブロックごとに送り出して架設できる手順図を作成し、5日間で架設を完了させる工法を採用しました。
 また、名神高速道路の路面高が不明のため、確実に建築限界を確保できるよう、当時としては珍しいレーザー点群測量を実施し、道路外から路面高を実測し、設計に反映しました。

 一級河川淀川水系芥川を渡河する芝生大橋の内、橋脚耐震補強を行う際の施工計画、仮設設計及び河川構造令に準じた橋脚周辺のさや管を設計したものです。
 河川堤防内に設置する橋脚については、地震時の橋脚と堤防の挙動差による空洞発生を防止するため、橋脚の周辺に堤防と同じ挙動となる土留めを設置して堤防と橋脚を分離する構造を設置する事が必要となりますが、芝生大橋については扁平な橋脚断面であることから、このような構造が設置されない状態で放置されていました。
 これに対して当社よりさや管構造の必要性及び構造形式について提案し、追加で設計を行う事になりました。構造については、狭隘な場所で施工できる事、堤防と一体に挙動する事、維持管理性に優れることから、H形鋼をパネル状に加工したものを設置したうえでコンクリートにて一体化する従来に事例の無い構造を採用しました。
 このように施工性、構造性及び河川の安全性を考慮した設計の優秀性が認められ、発注者(大阪府茨木土木事務所)より事務所表彰を受賞することができました。

 吹田市が管理する高浜橋について、ライトアップ設計並びに耐震補強設計を行ったものです。
 高浜橋は2径間連続斜張橋であり、吹田市としてはランドマークになっている橋梁であり、周辺は遊歩道が整備されており、市民の憩いの場となっています。
 ライトアップについては、橋梁のシンボルとなっているタワー部及びケーブル部の形状に着目し、夜間に実際に使用するLED投光器を用いて照射実験を採用し、光の当て方と見え方の確認を行いました。この結果、タワーについては各3方向から、ケーブルについては下方から複数の投光器を用いて上方に照らす方法が最も美しく光ることが確認できました。この結果を用いて配置計画及びパース図を作成しました。実際に見える姿はほぼパースどおりとなりました。
 耐震補強設計については、橋台部分の補強が困難である事、橋台部分の支承の交換が難しい事、橋脚基礎の補強も困難である事等、課題の多い橋梁でしたが、橋台部分にダンパーを設置して荷重を調整する方法を併用し、3次元動的解析にて耐震性照査を行った結果、補強場所を最小限にすることができました。

 大阪市が管理する淀川を横河する菅原城北大橋の内、右岸側の堤防上にアクセスするための歩道橋を設計したものです。
 大阪市では、広域の自転車道を整備するために、既存の菅原城北大橋の歩道から淀川右岸堤防上の自転車歩行者道に直接アクセスするルートを整備する事が必要となっていましたが、そのためには淀川堤防上に歩道橋を設置する事が必要でした。
 当社が業務を受注した段階では、河川を管理する淀川河川事務所との計画協議が技術的な課題で頓挫した状態であり、早急に代替え案を立案して河川事務所との協議を完了させる必要がありました。
 そこで、河川管理者の立場に立って計画案の見直しを行い、①さや管構造を併用した橋脚基礎構造の採用、②堤防上の狭隘な場所で施工可能な施工計画の立案、③その他河川管理上の問題点の整理と各項目に対する解決策の提案を2か月程度で取りまとめ、1回の協議で淀川河川事務所との協議を完了させ、短期間の設計工程を守ることが出来ました。

 兵庫県が計画管理する東播磨南北道路の内、神野IC終点側の連続高架橋を設計したもので、3径間連続PC中空床版と4径間連続中空床版のそれぞれ上下線の計4橋を設計したものです。
 橋脚については、上部工の張出床版部分とフォルムが連続するように曲線を配置した形状とするとともに、上部工からの排水管については橋脚内に箱抜きを設置し、前後工区と一体感のある構造形状としました。
 構造解析については、地震時の水平力が各下部工に均等に伝達されるように、地震時水平力分散支承を用い、3次元動的解析により全体解析を行って各部の安全性を確認しました。

 京都府南丹土木事務所が建設、管理する広野大橋(設計、建設中は大簾川橋)について、架設後に橋梁が所定の性能を有しているかを確認するために振動実験等各種の試験及び評価を行ったものです。広野大橋は橋長111mの吊床版工法を応用した自碇式複合トラス橋でこの形式としては世界で初めて支間100mを超えた橋梁です。
 当社では、広野大橋が設計で設定した強度を有しているかを確認するために、橋梁部位に加速度センサーを設置し、上方に実際に車両を通行させて得られた加速度結果を逆フーリエ解析により固有周期毎にピーク値を抽出し、これと別途3次元立体モデルにより得られる各振動モードの固有周期と比較することにより、計画通りの強度を有するかを確認しました。加速度計設置場所については、理論上、橋軸、直角及びねじり方向の各モードの振動が抽出できる位置とし、抽出結果から適正と判断しました。固有周期比較の結果、本体部材のみの解析では不整合となりましたが、構造部材ではない高欄や舗装などの橋梁附属物も含めた解析では比較的整合が取れる結果となり、設計で想定した強度を有していると判断できました。

 白浜温泉線の内、2級河川安久川を渡河する3径間連続PC箱桁橋です。
 P1橋脚を上部工と剛結とし、P1からカンチレバー工法で架設するとともに、P2橋脚からA2橋台についてはオールステージング工法にて架設する方法を採用しました。
 P1橋脚については、近接する県道栄岩崎線の通行を確保するためにコンパクトな基礎とする必要があることから、遮水矢板及び地盤改良を併用した深礎杭工法を採用しました。
 橋梁については曲線形状となっているため、3次元動的解析により全体解析を行って各部の安全性を確認しました。
 また、和歌山県は東南海地震による津波の影響が懸念されるため、周辺住民が速やかに高台に避難できるよう、A2橋台の周辺に避難用階段も併せて計画しました。

 山内恋野線の内、紀ノ川を横河する橋梁で、形式は3径間連続鋼箱桁橋となります。
 幅員が狭く老朽化したトラス形式の旧橋の架け替えとして設計を行いました。
 上部工架設については、紀ノ川への進入路確保が困難であるため、右岸側からの送り出し架設を採用しました。
 3径間の橋梁で、橋脚高が20m超と高いため、支承条件については橋脚部固定、橋台部可動の多点固定形式を採用し、地震時の桁の移動量を抑制する構造としました。
 構造解析については、3次元動的解析により全体解析を行って各部の安全性を確認しました。
 なお、橋梁に付随する照明設備については、夜間の照明が川に生息する生物(特に鮎)に影響が発生しないよう、通常のポール照明ではなく高欄の内蔵照明を採用し、光の拡散による生態系への影響を低減する計画としました。

 京奈和自動車道の内、紀の川市野上に位置する本線高架橋で橋長140mの橋梁です。予備設計では3径間連結+4径間連結プレテンションT桁橋が採用されていましたが、高架橋の途中で和歌山県道西川原名手市場線と立体交差となる部分があり、こちらの建築限界確保のため桁高を低くする必要があることから、桁高が低くなる7径間連結プレテンション床版橋を採用しました。 
 プレテンション桁の場合、連結数が大きくなるとクリープ乾燥収縮の影響で桁に引張力が発生します。その反面、伸縮装置を省略できるなど、経済性のメリットも発生します。
 そこで本橋については、支承を免震支承とするとともに、ゴム体に事前にせん断変形を与えてクリープ乾燥収縮の影響を防止する設計を行いました。
また免震支承については、特性が非線形性を有するため、地震時の安全性照査については動的解析により実施しました。

 国道2号から山陽自動車道志和ICに至る広島県道志和インター線の内、JR山陽本線跨線部分の橋長175mの高架橋を設計したもので、形式は3径間連続PCラーメン箱桁橋、架設方法についてはカンチレバー工法としています。
 曲線ラーメン橋のため、耐震設計については動的解析を使用して耐震性能を照査しました。
 JR跨線部分については、橋梁建設中は小さな資機材が落下しても大事故につながります。そこで、JR西日本と施工方法について協議を行い、鉄道敷については上面を完全養生を行う事により落下物が生じても鉄道運行に支障のない施工方法としました。
A1橋台部分については道路盛土上に設置する橋台となるため、盛りこぼし橋台の考え方を参照し、盛土の性状と荷重を適切に評した設計としました。

 太田上町志度線の内、琴電琴平線を横断する高架橋及び琴平線を横断する歩道をアンダーパスとして設計を行ったものです。琴電の建築限界や前後の道路との擦り付けを考慮し、上部工形式としては8径間連結プレテンション床版橋を採用しました。
桁のクリープ乾燥収縮の影響低減、地震時の移動用抑制及び支承の経済性の観点より、橋梁中央部は固定支承、中間部はゴムの圧縮方向の弾性特性を活用した『DSRダンパー』、橋台部分は可動支承として、各下部工に発生する地震時水平力を均一化するとともに、地震時の水平変位を抑制する構造を採用しました。DSRダンパーは地震時の特性が非線形特性となるため、地震時の解析は、ダンパーを正確にモデル化したうえで3次元動的解析により全体解析を行って各部の安全性を確認しました。

 下田川を渡河する高架橋の下り線の設計を行ったものです。橋梁形式、形状については既に供用されている上り線高架橋に合わせるものとし、渡河部は4径間連続鋼箱桁、地上部は4径間連続PC中空床版橋としました。コンクリート部分については上部工、下部工とも化粧型枠を使用したデザイン形式とし、フォトモンタージュにより既設高架橋と一体感のある形状を採用しました。
 支承については軟弱地盤層が介在していることから、免震支承を分散支承として設計する場合と機能分離型の分散支承を比較し、経済性より後者を選定しました。
 鋼桁、PC桁とも地震時水平力分散構造を有する橋梁のため、耐震性能については、動的解析により全体解析を行って各部の安全性を確認しました。

 博多駅筑紫口からHEARTSバスステーション博多までアクセスするための連絡通路の内、筑紫通りを横断するための連絡歩道橋を計画したものです。当社が予備設計から歩道橋本体の詳細設計及び建築上屋までを一貫して設計を行いました。
 周辺は電力や通信、上下水道の各地下インフラが密接して埋設されており、基礎の小型化が必須条件となるため、基礎形式としてオールケーシング工法のケーシングをそのまま鋼管杭及び鋼製柱として利用する、『ダイレクト鋼管杭形式』を採用しました。
 上部工形式については軽量コンパクトな鋼床版形式の箱桁及び鈑桁を採用し、メンテナンス性を考慮して点検足場を兼ねた化粧板を設置する構造としました。
平面的にはL型の歩道橋となっているので、3次元モデルにより風時及び地震時の解析を行って歩道橋全体の安全性を照査しました。

 計画する九千部山横断線の内、筑後川水系安良川上流部の渓谷部を横断する橋梁で、橋長187m、最大支間長100.2m、形式は3径間連続鋼ラーメン箱桁橋、橋台は深礎杭基礎の逆T式橋台、橋脚は大口径深礎杭を有する壁式橋脚となっています。橋脚と上部工との接合部分は鋼コンクリート複合構造とするラーメン形式としました。
 橋脚基礎の施工に際しては、現地が急峻な斜面であり通常の方法では基礎施工のための床堀による斜面の掘削範囲が広大になり、環境負荷が大きくなります。そこで橋脚周辺に土留め杭を打設し、アンカー併用として床堀を行い、完成時には土留め壁をコンクリートで覆って本設構造とする『竹割工法』を採用することで法面掘削を最小限としました。
上部工については、渓谷部分に車両が進入できない事から、ケーブルクレーンを使用したブロック架設工法を採用しました。完成後は『勝尾大橋』という名称となり、晴れた日には鳥栖市街が一望できるスポットとして、鳥栖市HPでも紹介されています。