【都市計画とは】
 まちには大勢の人が集まり、働き、学び、遊びそして生活しています。
 もし、誰もが自由に土地を使ったり、建物を建てたりするとどうなるでしょうか。誰もが気持ちよく暮らすためには、土地の使い方や建物の建て方にルールが必要です。
 また、まちで生活していく上で、道路、公園、下水道などの公共施設は欠かせません。新しいまちをつくったり、古くなったまちをつくり直したりするためには、まち全体の中でのその地区の役割などを考えて、計画的に進めていくことが大切です。
 土地の使い方や建物の建て方についてのルールづくり、まちに必要な公共施設など、まちづくりに必要なことがらを、都市計画法という法律に従って定めているのが都市計画です。

【都市計画の仕事】
 都市計画の仕事は都市をより良いものにするため、調査や分析を行って課題を見つけ、それを解決するための政策の立案や企画・計画の策定、空間のデザイン・設計や仕組みの提案を行ったりする仕事です。
〈都市計画区域マスタープラン〉
 「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」と言い、人口、人や物の動き、土地の利用のしかた、公共施設の整備などについて将来の見通しや目標を明らかにし、将来のまちをどのようにしていきたいかを具体的に定めるものです。
 具体的には、以下のような内容を定めます。

・都市計画の目標
・区域区分(市街化区域と市街化調整区域との区分)の決定の有無及び当該区分を決めるときはその方針
・土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

〈市町村マスタープラン〉
 「市町村の都市計画に関する基本的な方針」と言い、市町村マスタープランは、住民に最も近い立場にある市町村が、その創意工夫のもとに住民の意見を反映し、まちづくりの具体性ある将来ビジョンを確立し、地区別のあるべき「まち」の姿を定めるものです。また、市町村マスタープランは、当該市町村を含む都市計画区域マスタープラン、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即したものとなっています。

〈地区計画〉
 地区計画は、それぞれの地区の特性に応じて、良好な環境の整備・開発及び保全を図るために必要な事項を定める地区レベルの計画です。
 地区計画は、地区の計画目標や土地利用の方針を示す「地区計画の方針」と、道路・公園等の配置や、建築物等に関する規制などを具体的に定める「地区整備計画」で構成され、住民等の意見を反映し、その地区独自のまちづくりのルールをきめ細かく定めます。

〈都市計画基礎調査〉
 都市計画を適切に策定し、実現していくために都市の現状や変化の様子などについて幅広くデータを集めて、これに基づいて計画を定める必要があります。都市計画基礎調査はこれらを目的に、おおむね5年ごとに、都市計画区域の人口規模、産業分類、市街地の面積、土地利用、交通量などの現況及び将来の見通しについての調査を行います。

〈都市施設の設計〉
(都市計画道路設計・造成設計・公園設計・駅前広場設計等〉
 都市施設は円滑な都市活動を支え、市民の利便性の向上や良好な都市環境を確保するうえで必要な施設のことです。
 都市施設には道路、駐車場、公園、墓園、水道下水道、ごみ処理施設、河川、学校、図書館、病院、保育所などがあります。このように都市施設として定めることができるものには多くの種類がありますが、これらのうちからそれぞれの都市にとって必要なものを選択して都市計画に定めることになっています。これらの設計は基本設計や実施設計などの各段階で設計を行い、工事に必要な図面等を作成します。

〈都市施設(公園)の点検〉
 我が国の社会資本は高度経済成長などに集中的に整備されたことから、今後急速に老朽化が始まり重大な事故や致命的な損傷等が発生するリスクが高まることが懸念されています。
 橋梁やトンネルなどの社会資本については普段の生活においても点検風景を見かけることがあると思いますが、公園についても同じように点検を行います。そのため、社会資本の一つとして施設の状況の把握、適切な時期に適切な修繕・更新が行えるよう安全点検を実施することが重要です。

【業務目的】
 名古屋市南区の鳴尾地区は、すぐ南を流れる天白川(自然水理)が消防水利に指定されていました。しかし、この天白川は南海トラフ地震発生時に津波の遡上が想定されており、発災時には消防水利として活用することが困難となる可能性が高いことが名古屋市消防局で判断され、当地域の都市公園である鳴尾公園に100㎥の耐震性防火水槽を設置することになりました。本業務は、防火水槽の設置に必要な設計、設計・施工に必要な地盤情報を得るための地質調査、関係機関(公園管理者)との協議が円滑に進むための資料作成が目的です。

【業務内容】
 現地状況の調査、地質調査(土質ボーリング、サンプリング、現場透水試験、室内試験)、土留工法の詳細検討、防火水槽形式の比較検討、基礎工の必要性の検討、設計を行いました。

【技術的特徴】
 前年度の事前調査により、防火水槽を設置する鳴尾公園は、地盤が軟弱なことが判明しており、過去に市内で採用実績があるコンクリート製防火水槽を設置した場合、水槽が沈下する恐れがありました。また、現場の鳴尾地区は住宅が密集し狭隘道路が広がるため、100㎥クラスの大型防火水槽の部材(製品ブロック)と大型工事車両の搬入についても懸念がありました。
 まずは現地調査、地質調査を行い、現地(公園内)の住民の往来状況、遊具の配置状況を把握し、土質性状について物理特性・力学特性を把握しました。公園は人々の往来が多く、施工時には最小の施工ヤードが求められ、軟弱地盤に対する影響、地域の道路状況等現況に対する影響を合わせて考慮し、従来のコンクリート製に代わる形式を比較検討し、軽量且つ部材を分割搬入でき、水槽の側壁を土留兼用で掘削し沈設する潜函工法にて施工が可能な、鋼製円筒型の【縦円筒型耐震性防火水槽】を提案しました。

【業務目的・業務内容】
 箕面北部丘陵地区造成設計業務は、北部大阪都市計画事業「水と緑の健康都市特定区画整理事業」内の企業用地ゾーン(第3工区)約25haの区域において、企業誘致のための敷地を築造するための造成設計及び、区画道路の設計を行ったものである。

【設計観点】
 一般的に面的な設計では、基本計画→基本設計→実施設計の順で業務が進められ、実施設計にて工事発注を行います。企業団地(多数の企業が集まっている地区を言う。)では基本設計の土地利用(形状・面積等が概ね決定している状態)で企業への公募を行われることが多く、その際に応募企業から要望が出されることがあり、実施設計では要望に応じて土地利用を変更することがある。本業務では企業用地内に一部現況(山地)を残した計画であったが、造成を行い企業用地として活用できることが可能であるため、山地を切り飛ばして企業用地として活用することを提案して採用された。その他にも企業の要望に応じて区画面積の変更等の変更を行っている。
 また、本計画地は周辺を山に囲まれた谷筋に盛土を行うことから周辺に残る山地及び法面等が急傾斜危険崩壊区域に該当する箇所については、法枠工の設置、法面の高さの制限を行ったりするなどの対策工法等の提案を行っている。

【業務目的・業務内容】
 﨑津地区拠点観光施設整備は、「天草の﨑津集落」を構成資産に含む「長崎と天草津地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産登録を推進する中で、今後増加が見込まれる来訪者の受入体制の整備として観光拠点施設の建設及び拠点駐車場等の施設整備を行ったものである。
(2018年7月に世界文化遺産に登録、2018年12月に施設は道の駅に登録されている。)

【整備施設内容】
 観光交流施設(ガイダンスセンター)(木造平屋建て、建築面積:約490㎡)、四阿・倉庫(木造平屋建て)、駐車場(普通車50台(内EV用2台)、大型バス6台、障害者用2台、展望台)

【設計観点】
 設計に当たっては、地元の資材を活用する方針としており、観光交流施設等の建物は、地元の木材を活用した木造建築物としている。また、世界文化遺産のテーマが潜伏キリシタンであることも踏まえ、計画地からカトリック教会を望むことが出来る展望台の設置も行っている。
全体的には、﨑津地区は、「天草市﨑津の漁村景観」として国選定重要文化的景観地区に選定されており、舗装材など景観に十分に配慮した素材を選定した設計としている。

【業務目的】
 本業務は、都市公園内における公共施設の機能保全やライフサイクルの縮減を目指した効果的なストックマネジメントに取り組むための長寿命化計画策定を目的としました。

【業務内容】
 本業務では長寿命化計画策定に必要な予備調査を実施しました。長寿命化計画の対象となる公園及び公園施設ごとに、都市公園台帳や公園施設台帳、工事竣工図等を収集し、基礎資料を整理しました。それをを基に現地調査を実施し、目視により劣化や損傷等の状況を把握し、健全度調査票を作成しました。健全度調査票では、予防保全、事後保全の管理型分類を行い、長寿命化計画の基礎資料としました。

【技術的特徴】
 公園施設のライフサイクルコスト縮減効果の見込みや利用者数、公園の利用促進等の視点で、あらかじめ予防保全型管理を行う候補となる公園施設と事後保全型管理を行う公園施設に分類しました。
 予防保全型管理:劣化や損傷を未然に防止しながら長持ちさせる管理。
 事後保全型管理:日常的な維持管理や点検を行い、機能しなくなった段階で取り換える管理。

【業務目的・業務内容】
 名古屋市では上水道施設の更新期にあたり、施設整備における空間利用を検討・整理し、まちづくりに役立てていくことが課題とされており、露橋水処理センターを下水処理場空間利用のモデルケースとして整備するために、空間利用検討委員会で利用テーマ、方針、施設整備イメージ等が設定された。本業務では検討委員会の内容を基に、広場・園路・植栽・排水等施設の詳細設計を行ったものである。

【設計観点】
 上部利用箇所は地下処理施設上であるため、荷重制限が設けられており、制限を超えないように盛土厚等を決定する必要があった。その為「中川運河への眺望と広がりのある空間をつくりだす」テーマから、極力視界を遮る施設・植栽等を設置しないようにし、詳細部分の設計では、「福祉のまちづくり条例」「雨水流出制御」の対象施設のため、ユニバーサルデザインの推進と雨水流出制御のために、透水性舗装を採用して、条例に合致した施設としている。

 水処理施設場を利用していることから、「都心部における水と緑の開かれた憩いの場」をテーマに、水と親しむ施設としてミスト噴水を設置している。運河沿いのプロムナードは、将来堀止緑地に接続する計画で、広場から安易に利用できるように設計している。
 現在は、「広見憩いの杜」として都会のオアシス的役割を担っている。

【業務目的・内容】
 劣化損傷が激しい荒内谷公園内の擁壁部の補強設計および補強に伴う整地設計を行い、公園機能の復旧を図ったものである。公園内は防災機能(調整池機能)を併せ持ち、湛水時の擁壁構造の安定性と調整池容量を確保した計画としている。業務内容は、現状把握のひび割れ調査や剥離状況の把握、反発度法による現況擁壁のコンクリート強度を把握後、既設擁壁の復元設計を実施し、変状要因を追究したうえで対策擁壁の計画を行っている。

【技術的特徴】
 調整池機能時(湛水時)の水位条件設定、残留水位の発生させない構造形式、施工日数の低減を踏まえた竪壁のみ既製品を利用した逆T式擁壁の提案を行っている。

【業務目的・内容】
 北陸新幹線新高岡駅における南口駅前広場の実施設計、シェルター設計を行った業務です。新高岡駅は2015年に北陸新幹線の長野-金沢間の延伸と同時に開業しました。
 実施設計では基本計画、基本設計の整備方針や内容に基づき設計を行います。初めに作業計画の立案、現地踏査、周辺施設の状況整理等を行い、設計に必要となる情報を整理します。その後、駐車場、タクシープール、バス乗降場の車両軌跡を考慮した駅前広場のレイアウト案の検討、シェルター、待合所等の施設配置、舗装設計、排水を考慮した平面・縦横断勾配の設定等の検討を行い、実施設計図を作成します。シェルター設計では、過年度設計内容の検証を行うとともに、施設配置計画、基本形状・仕様について検討を行った後に実施設計図の作成を行います。

【技術的特徴】
 駅前広場の設計は面的な整備であるとともに、ロータリ部は道路としての線形を持たせた設計を行います。そのため、排水計画においては駅前広場と道路との高さの整合性を図りつつ、適切な路面排水となるよう設計を行っていきます。シェルター設計では建築物として設計を行う必要があるため、建築グループと共同で設計を行っていきます。